豚肉に多く含まれるオレイン酸という一価不飽和脂肪酸には、コレステロール値を上昇させないばかりか、LDL（悪玉）コレステロールを減らす働きがあります。
また、最近の研究で、やはり豚肉に多く含まれるステアリン酸という飽和脂肪酸も、HDL（善玉）コレステロールを増やす働きのあることがわかっています。つまり、豚肉の脂肪酸は、動脈硬化の予防に役立つということです。
豚肉の脂身には、赤身部分の旨みをまろやかにする働きがあり、さらに香り成分も豊富です。これが豚肉独特のおいしさにつながっています。

脳を健康に保つ重要な栄養成分として注目されているのがアラキドン酸です。豚肉特有のおいしさはリノール酸に由来しますが、同じ脂肪酸の仲間・アラキドン酸が多く含まれているのも豚肉の特長です。
アラキドン酸は、人が生きていく上で欠かせない必須脂肪酸の1つです。動物の細胞膜に含まれていて、免疫機能を調節したり、学習能力や記憶など脳の働きに重要な役割を果たすことが確認されています。乳幼児には母乳から与えられ、脳の発育に大きくかかわっています。
食べ物から摂取することが必要ですが、植物にはほとんど含まれず、肉や卵に多く含まれます。肉の中でも豚レバーが多く、豚もも肉にも含まれています。
アラキドン酸は60歳を過ぎるころからその量が減っていきます。しかし健康な高齢者にアラキドン酸を摂取してもらう実験を重ねたところ、情報処理速度が速くなり、集中力もついてくるといわれています。
さらに、年齢との相関で計算すると、アラキドン酸をとると脳が若返るともいわれており、アラキドン酸は高齢者にこそ必要な栄養素だといえます。
必須アミノ酸もビタミンB1もアラキドン酸も、私たちの体内でつくることも貯めることもできないため、毎日の食事でとらなければなりません。食品の中にはごく微量しか含まれないので、比較的多く含まれる豚肉を毎日の献立の中で上手に取り入れたいものです。